僕が君に
真紘くんのお母さんは綺麗な顔立ちだった
そして若いシングルマザー
たぶん自分と同年ぐらいだろう
父親は生前鳶職をしていたらしく、不幸にも足場から落ち亡くなってしまった
「ママ、今日も迎えに来てね!」
「うん、迎えに来るよ」
毎朝この会話は2人のお決まり会話だった
小さいながらも父親がいなくなった事を気にしているんだと思う
俺はそんな真紘くんに目が離せなかった
シングルマザーだからじゃない
父親が事故で亡くなったという状況が、まるで小さかった頃の自分をみているようだったから
「恵せんせぇ?」
ふと視線をやると真紘くんは俺の顔を覗いていた
「教室行こう?」
「ああ、手繋いで行こうか」
「うんっ!」
小さな手は暖かくて、自分が励まされてるような気持ちになった