僕が君に
それから数日のこと
その日は雨が降っていて外で遊ぶことが出来なかった
子供たちは体育館で遊んでいる
でも一人だけ見当たらない
俺は教室へ向かった
「真紘くん?」
真紘くんは教室に一人でおり、絵を描いているようだった
「何描いてるの?」
「ママ!」
A4サイズの白い画用紙に髪の長い女の人が描かれている
「上手だね、書き終わったらお母さんにあげようね」
「うん!」
画用紙のまわりには沢山のカラーの擦り減ったクレヨンがバラまかれている
「ママがね、今度クレヨン買ってくれるの」
俺に向けられた表情があまりにもキラキラしていて、俺まで嬉しい気持ちになった
「よかったねぇ!」
真紘くんはニヒヒと笑うと、また画用紙に目を向け絵を描きはじめた