僕が君に

子供たちがパラパラと教室に戻ってきた


「恵せんせぇ、真紘くん遊ばないんだよー」

「ん、真紘くんはお絵かきしたいんだって」


子供たちを優しく宥める


するとクラスでも1番の元気少年ユウキくんが真紘くんの画用紙を覗いた


「真紘くんねー、パパいないんだよー。だからママしか描かないんだよー」



子供は悪気がないんだ

大人が話していたのを聞いてしまったんだろう


「ユウキくん、そんなこと言ったらダメだぞぉ」

「だって僕のママ言ってたもん!真紘くんはカタオヤだってー」


多分意味をわからないで使っているんだ
片親…ユウキくんはわからなくても真紘くんは知っているかもしれない

真紘くんを見るとじっと画用紙を見たままピクリとも動かずにいる



「カタオヤー」「カタオヤー」


子供たちが意味を知らずに何度も大声で叫びはじめた



「真紘くんにはちゃんとパパいるよー」


咄嗟にでた言葉に自分でもビックリした



「うそだー」


「嘘じゃないよー、ほらまた体育館で遊ぼう」


子供たちを廊下に出させる




俺は正しい行動を取れているんだろうか





子供たちを体育館に連れていき、急いで教室に戻った
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