誰も知らない花であるように
誰も知らない花であるように
もっと側に。
今より近くに。

芽吹く祈りは闇を燃やしていく

始まりが終わりであるように
喜びが悲しみであることを
知っていて

どうして燃えさかるのを
涙を浮かべて見ているしかないのだろう

踏みにじった芽が
願いのように起き上がる

実らない花ならば
せめて
誰も知らない花であるように

理屈など適わないくらい
鮮やかな色で咲くのなら
せめて
誰も知らない花であるように

そして燃え尽きてしまう時には

それは何でもなかったよと
きっと何も言えずに手を振る

それでも散らばる記憶が
焼き付いたまま
泡のように無くならないのなら
せめて

彷徨うように
優しさを抱いて
歩いていくのなら
どうか
誰も知らない花であるように
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