天使的に☆悪魔的な
俺はその女をガシッと掴んだ。






お前は一体、何を知ってる?




俺は何にも知らないんだよ。





今、雄汰がどうしてるかさえ。





『教えてくれ。今、雄汰はどこに住んでるんだよ!?』




『あなたは………雄汰の何なのですか?』





『俺は雄汰の従兄弟の縦畠 諒弥。今日、3年2組に転校してきた。』





『あなただったんですか?アメリカからの転校生って……。』




『ああ。だけどいくら母親に聞いても雄汰の事を一切口に出さなかったんだ。』





そう、中学生になって雄汰の事を聞いたら、母さんは急に怒り出すんだ。





もしかしたら、雄汰の身に何かあったのか?



『教えてくれよ。頼むから………。』





と、そこで急に何かこっちの方に走ってくる足音が聞こえた。




…………まさか、な。




まさか……だよな。





俺は決心してゆっくりと後ろを振り向いた。



『こっんのバカ野郎!!!!!』










……………現実は、そう甘くない物だ、とこの時痛感した。




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