はーとちぇんじ☆
教室に戻ると、小百合は黒板の横でクラスメイトと何やら真剣に話をしていた。

「ねぇ小百合。何の話?」

近付いて声を掛けると、そっぽを向いて教室を出て行ってしまった。

「何なのよ、もぅ。」

数分後。チャイムが鳴ってすぐ、小百合は戻ってきてスタスタと席に着いた。


授業中、普段はマジメな小百合が珍しくノートも書かずに窓の外を眺めていた。

そして時々あたしの方に目をやって、またすぐに窓の外に移した。


その目には、いつもの優しさは無かった。


何があったんだろう…。

そんな事ばかり考えていたら、授業終わりのチャイムが鳴った。


あたしは事の真相を探るべく、小百合に歩み寄った。


「ねぇ―」


しかしその言葉は小百合の声によって遮られた。

「非常階段に来て」


氷の様に冷たい声だった。

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