もっと好きになる




「俺?俺は~…よく呼び出されてね」



疲れたという風にため息を零した瀬戸君。



あたしは首を傾げて考える。



「先生に?」



「違う。女に…」



瀬戸君って女子にはモテるのに、相手にしないタイプで、まるで女嫌いのような人。



背が高い上に、顔も整った奇麗な顔つきで、スポーツも万能でおまけに優しい。



ほっとく女子の気持ちも分からない程だった。



「瀬戸君ってさぁ、好きな人とかいないの?」



直球質問を投げかけると少し沈黙を作って、



「いない……かな」



と応えた瀬戸君。



それから段々と教室に人が入って来て、あたしは机に伏せながら居眠りをした。



キーンコーンカーンコーン



「HR始めるぞー」



最後に先生が入って来て、あたしにとって久しぶりのHR。



いつもHR終わりに俊希と教室に駆け込むから、新鮮な気分だった。



だけどまだ俊希は、来ない。




< 12 / 30 >

この作品をシェア

pagetop