もっと好きになる
「俺?俺は~…よく呼び出されてね」
疲れたという風にため息を零した瀬戸君。
あたしは首を傾げて考える。
「先生に?」
「違う。女に…」
瀬戸君って女子にはモテるのに、相手にしないタイプで、まるで女嫌いのような人。
背が高い上に、顔も整った奇麗な顔つきで、スポーツも万能でおまけに優しい。
ほっとく女子の気持ちも分からない程だった。
「瀬戸君ってさぁ、好きな人とかいないの?」
直球質問を投げかけると少し沈黙を作って、
「いない……かな」
と応えた瀬戸君。
それから段々と教室に人が入って来て、あたしは机に伏せながら居眠りをした。
キーンコーンカーンコーン
「HR始めるぞー」
最後に先生が入って来て、あたしにとって久しぶりのHR。
いつもHR終わりに俊希と教室に駆け込むから、新鮮な気分だった。
だけどまだ俊希は、来ない。