もっと好きになる




と思ったら、勢いよく開いた後ろのドア。



そこからひょいっと顔を覗かせたのは…紛れも無い俊希だった。



あたしはドアに視線を向けて呆然に俊希を見る。



皆も俊希に集中して目線を向けた。



「また遅刻かぁ?」



睨むような視線で先生は問いかけると、ペコっと頭を下げてスタスタと自分の席に着いた。



朝から何かあったのかな?



聞きたいのにあたしと俊希との席は、マ逆の位置にあって声も届かない。



仕方ない…メール送ろっと。



最終手段としてポケットから携帯を取り出し、先生の目を盗んでメールを打ち始めた。



【Re:梓です。何で朝、一緒に行けなかったの?】



―送信。



チラッと俊希を見ると、メールに気づいたのか携帯画面を覗いている。



すると1分も経たずに返事が返ってきた。



【Re:Re:俊希。朝から美紀先輩に呼ばれたんだよ】



美紀先輩?先輩とは夜に駅前で会うんじゃなかったの?



沸々と疑問と疑惑が浮かんでくる。



不安と嫉妬が入れ混じった複雑な気分…




< 13 / 30 >

この作品をシェア

pagetop