もっと好きになる
と思ったら、勢いよく開いた後ろのドア。
そこからひょいっと顔を覗かせたのは…紛れも無い俊希だった。
あたしはドアに視線を向けて呆然に俊希を見る。
皆も俊希に集中して目線を向けた。
「また遅刻かぁ?」
睨むような視線で先生は問いかけると、ペコっと頭を下げてスタスタと自分の席に着いた。
朝から何かあったのかな?
聞きたいのにあたしと俊希との席は、マ逆の位置にあって声も届かない。
仕方ない…メール送ろっと。
最終手段としてポケットから携帯を取り出し、先生の目を盗んでメールを打ち始めた。
【Re:梓です。何で朝、一緒に行けなかったの?】
―送信。
チラッと俊希を見ると、メールに気づいたのか携帯画面を覗いている。
すると1分も経たずに返事が返ってきた。
【Re:Re:俊希。朝から美紀先輩に呼ばれたんだよ】
美紀先輩?先輩とは夜に駅前で会うんじゃなかったの?
沸々と疑問と疑惑が浮かんでくる。
不安と嫉妬が入れ混じった複雑な気分…