もっと好きになる




何だか瀬戸君に心配されてると思うと、申し訳ないような気持ちになる。



ただ隣の席同士ってだけなのに……



「あたし、本当に何もないから!だから心配しないで?」



明るく振舞うと、納得いかないような表情で立ち上がった瀬戸君。



『心配してくれてありがとね。』



あたしは心の中で呟いた。



放課後になると、掃除当番の為ホウキを片手に掃除していたあたし。



瀬戸君も同じ掃除当番で、後の友達4人も掃除当番になっている。



その中の一番仲が良い歩美は、あたしの隣に駆け寄ってきた。



「梓、最近俊希とどうなの?」



俊希の事が好きって歩美にだけはカミングアウトしたから、よく相談にも乗ってもらっていた。



ちょっと気の強い積極的な歩美は、好きになった男は意地でも落とすタイプだ。



「美紀先輩っていたでしょ?先輩、俊希を狙ってそうなんだぁ」



廊下で友達とじゃれ合う俊希を見ながら呟いた。



歩美になら本音を言える…久しぶりに相談に乗ってもらおうかな?



「美紀先輩って彼氏いなかった?!」



「この前別れたって…」



歩美と美紀先輩は、家が近所で親同士が仲良いらしい。



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