もっと好きになる
いつも見慣れた姿なのに、今日だけ何故かドキドキする。
「よぉ」
片手を軽く挙げて挨拶を交わす俊希に、あたしも挨拶を返す。
「おはよ…どうしたの?」
「暇でさぁ、つまんねーんだよ。入っていい?」
返事を聞く前に、ズンズン足を入れて家に入ってきた。
俊希、何かいつもと何処か違うような…
あたしは俊希の後姿にちょこちょこ着いていった。
リビングに着くと、さっきまで座っていたソファを占領される。
なんか…荒れてる?怒ってるの?
家にはあたし以外誰もいなかったから、あたしと俊希の二人きり。
嬉しいけど…俊希の態度がいつもと違ったから、重い空気。
「俊希…なんかあったの?」
「俺?何にもねーよ。つか何でそんな事思うんだ?」
確かに根拠もなかった。だけどこれだけは言える。
あたしは俊希の背中に向かって言葉をぶつける。
「長年の勘。あたし、幼なじみだし」
少し強い声で発言すると、俊希は動きをピタッと止めた。