もっと好きになる
「美紀先輩と会ったんでしょ?何か言われた?」
この前、一緒に登校出来なかった日。
美紀先輩と会っていた事を知って以来、気になって仕方がなかった。
だけどいざとなると、やっぱり聞けなくて辛かったんだよね…
思い切って聞いてみると、俊希は天井を見上げて考え込む。
「彼氏と別れたって事は聞いたけど」
やっぱり、美紀先輩は彼氏と別れたんだ…
そんな事、いちいち俊希に報告しなくていいのに。
先輩は俊希に振り向いてほしかったのかな?
意識してほしかったのかな?
「先輩には悪いけど、あたし少しイライラしてる」
冷蔵庫を開けて顔を覗き込みながら言った。
「なんで?先輩いい奴じゃない?後輩思いだしさ。この前なんかアイスおごってくれたし」
それは俊希だからだよ…もしあたしがその場にいたら、先輩はそんな事しないと思う。
美紀先輩は俊希が好き。その事実は変わらない。
昼ご飯を済ませると、俊希の隣でお笑い番組を見ていた。
「これ前にやってたやつだ」
俊希はテレビ画面にそう言って、ニコニコしている。
多分、再放送か何かだろう。