もっと好きになる




「美紀先輩と会ったんでしょ?何か言われた?」



この前、一緒に登校出来なかった日。



美紀先輩と会っていた事を知って以来、気になって仕方がなかった。



だけどいざとなると、やっぱり聞けなくて辛かったんだよね…



思い切って聞いてみると、俊希は天井を見上げて考え込む。



「彼氏と別れたって事は聞いたけど」



やっぱり、美紀先輩は彼氏と別れたんだ…



そんな事、いちいち俊希に報告しなくていいのに。



先輩は俊希に振り向いてほしかったのかな?



意識してほしかったのかな?



「先輩には悪いけど、あたし少しイライラしてる」



冷蔵庫を開けて顔を覗き込みながら言った。



「なんで?先輩いい奴じゃない?後輩思いだしさ。この前なんかアイスおごってくれたし」



それは俊希だからだよ…もしあたしがその場にいたら、先輩はそんな事しないと思う。



美紀先輩は俊希が好き。その事実は変わらない。



昼ご飯を済ませると、俊希の隣でお笑い番組を見ていた。



「これ前にやってたやつだ」



俊希はテレビ画面にそう言って、ニコニコしている。



多分、再放送か何かだろう。







< 22 / 30 >

この作品をシェア

pagetop