もっと好きになる




俊希はどうせ『リンゴ飴食って~』とか考えてるだけなんだろうけど。



あたしにとっては年に1度の恋人同士みたいなデートだと思ってるんだよ?



今年は3人になっちゃうの?…



どんどん沈んでいく気持ちが、嫌って程襲い掛かる。



「やっぱ梓は先輩の事嫌なのか?」



俊希の方が背が高いはずなのに…ソファで体勢を崩している為に、あたしよりも低くて上目遣いで呟かれる。



そんな目で見ないでよ~…



「うん、分かった。3人で行こう?」



返事はこれしか思いつかなかった。



もし、『先輩はやっぱり嫌いだから嫌』なんて言ったら逆に俊希を傷つけちゃうもん。



「いいの?別に無理しなくていいんだぞ?」



「大丈夫。俊希も来るから」



あたしの言葉に首を傾げた俊希だけれど、あたしは深く決心したように頷いた。



そして夏祭り当日―…



あたしにとって決戦になるだろうなぁ。



浴衣着て俊希にドキドキさせてやるんだ。



きっと先輩も可愛い浴衣着てくるんだろうな…



< 24 / 30 >

この作品をシェア

pagetop