もっと好きになる
俊希はどうせ『リンゴ飴食って~』とか考えてるだけなんだろうけど。
あたしにとっては年に1度の恋人同士みたいなデートだと思ってるんだよ?
今年は3人になっちゃうの?…
どんどん沈んでいく気持ちが、嫌って程襲い掛かる。
「やっぱ梓は先輩の事嫌なのか?」
俊希の方が背が高いはずなのに…ソファで体勢を崩している為に、あたしよりも低くて上目遣いで呟かれる。
そんな目で見ないでよ~…
「うん、分かった。3人で行こう?」
返事はこれしか思いつかなかった。
もし、『先輩はやっぱり嫌いだから嫌』なんて言ったら逆に俊希を傷つけちゃうもん。
「いいの?別に無理しなくていいんだぞ?」
「大丈夫。俊希も来るから」
あたしの言葉に首を傾げた俊希だけれど、あたしは深く決心したように頷いた。
そして夏祭り当日―…
あたしにとって決戦になるだろうなぁ。
浴衣着て俊希にドキドキさせてやるんだ。
きっと先輩も可愛い浴衣着てくるんだろうな…