もっと好きになる
あたし達の後ろでは、裕也さんと俊希が喋りながら歩いている。
美紀先輩の事を話すと『有り得ない!』と断固拒否。
あたしだって本当は嫌だよ~…
「ねぇ、その子あたしに会わせてよ?」
怒りモードのお姉ちゃんは、グイッと顔を近づけてきた。
目をそらして考えていると『決まりね』と言ってニコッと変な微笑みを見せた。
美紀先輩にとって、お姉ちゃんは先輩でもあるから、何か起こったらタダじゃ済まないよね。
ゴクンと唾を飲み込み、心の準備を整えた。
会場につくと、既にベンチで座っている美紀先輩が待ち構えていた。
あたしも先輩に会うのは卒業式以来……
ドキドキと鼓動が速くなっていく。
不気味な時間が始まった――…
「おっ、先輩!」
俊希は、何十メートル先にいる先輩の浴衣姿はすぐに分かっちゃうんだ。
何だか先輩に追い越された気分だなぁ…
「梓?浴衣可愛い!」
すぐ目の前まで皆で駆け寄ると、あたしを見て褒めてくれた。
「美紀先輩も…黄色の浴衣姿可愛いです」