もっと好きになる
―飯島俊希―
物心つく前からの幼なじみで、同い年の中学3年生。
何でも言い合える仲の良い関係でもあり…あたしの好きな人とも言える人。
幼なじみだからって、あたしにしか見せない性格や表情に胸が惹かれたんだ。
「ちょっ、俊希!」
いきなり座り込んだ俊希を、あたしは顔を覗きこんだ。
酔ったせいで淡く顔が赤く染まっていて、意識が朦朧としているのかポカンとする俊希。
まだ中学3年なのにも関わらずお酒を飲むなんて、さすが不良って思った今日この頃。
最近になってよく酔っ払ってあたしの家に訪れる。
多分、自分の家に帰ると親が居てて酔っ払ってるのを見られるのが駄目らしい。
だからあたしの家で酔いが冷めてから自分の家に帰る。それが俊希の日課みたいなものだった。
「俊希、大丈夫?」
「う…気分悪ぃ…」
そう言ってフローリングの床に寝転ぶ俊希の隣で、あたしは静かにその場で座り込んだ。
気持ち良さそうに眠ろうとする俊希が可愛くて、思わずギュッとしたくなっちゃう。
だけど、そんな事出来るような立場ではないんだ。
あたしはただ隣で俊希の寝音を聞くだけで、抑える気持ちが大きくなっていくばかりだった。