もっと好きになる
思わず言い訳をしてしまうあたし。
俊希はニヤッとした表情を浮かべてクスクス笑っていた。
何だかもっと前から起きていたみたい…
「ってか、今何時?」
「夜中の2時回ったとこ」
それとも本当に今まで寝ていたとか?
あたしの返事を聞いて焦り始める俊希は、髪をくしゃくしゃ掻いた。
首を傾げて"?"を浮かべる。
何か急がなきゃいけない事があったのかな?
「やっべー…」
「どうしたの?」
「先輩に12時になったら駅前来いって言われてたんだよ」
先輩って――?
あ……もしかして………
「美紀先輩…?」
恐る恐る口に出すと、少しびっくりしたような表情であたしを見た俊希。
美紀先輩はあたし達の1つ上の先輩で、高校1年生の優しい先輩だ。
だけど俊希にいつも気があるような面持ちで、先輩が卒業してからもたまに俊希を呼び出す事があった。