もっと好きになる




「おー、よく分かったな?梓もしかして先輩の電話番号知ってたりする?」



そういえば卒業の時、携帯のアドレスと電話番号を交換したっけ…



近くにあった小さなテーブルの上に置いてある白い携帯を手にとって開いた。



アドレス帳から探すと、確かに"美紀先輩"と登録されていた。



「…知ってるよ」



「まじ?教えてくんない?」



嬉しそうにニコッと笑いながらあたしに俊希の黒い携帯を差し出してくる。



何でそんなに笑っていられるの?



あたしは渋々黒い携帯と白い携帯を近づけて赤外線で電話番号を送る。



「赤外線~♪」



こんな地味な作業の時でも一人で盛り上がる俊希がよく分からなかった。



あたしは正直、先輩はライバルだと思ってる。



何しても美紀先輩の方が上で、俊希だって先輩とあたしを選ぶとしたらきっと先輩を選ぶだろうな。



俊希の好きな理想の女性が、まるで美紀先輩を映してるようだった。



「じゃぁちょっと先輩に電話するわ。ってもう寝てっかな?」



そう言いながら美紀先輩で電話をかけて、耳に受話器をあてた。



プルルル……




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