もっと好きになる
シーンと静まるリビングは、あたしの鼓動をドキドキさせた。
ガチャッ
隣にいたあたしでも分かる電話の音…
そして聞こえてきたのは、高くて可愛い女の声。
『もしもし?』
…美紀先輩だ。
俊希の電話番号を知らない為、低く落ち着いた声が飛び出す。
「あー、俺。分かる?」
『俊希?』
先輩、"俺"で俊希って当てちゃうんだ。
どれだけ深い仲なんだろう?
どんどん不安になっていく胸の中が、すごく熱かった。
あたしと喋るより嬉しそうな顔をする俊希。
楽しそうで、美紀先輩が羨ましいよ。
先輩は、俊希の事が好きなのかな?…
「分かった分かった。うん、じゃぁな」
そういえば、知らない内に美紀先輩にタメ口で喋ってる。
俊希の言葉が最後にブチッと切った電話の画面には、"2:36"と通話時間が表示されていた。