もっと好きになる




たった2分ちょっとしか通話していないのに、長い時間に感じた。



「美紀先輩、何だって?…」



「すげーキレてた!けど明日また会う事になったから許してもらった~」



ご機嫌斜めでフフンと鼻声が聞こえてくる。



そんなに美紀先輩と会いたいの?…自然に嫉妬が湧き上がる。



……俊希はあたしの物じゃないのにね。



勝手に嫉妬して、バカみたい。



「そっかぁ。あたしまた寝るね?俊希も家戻って寝た方がいいよ」



あたしは立ち上がって俊希の顔も見ず、自分の部屋へと続く階段まで歩き出した。



「あ、おう。じゃーな♪」



前を向いてて分からなかったけど、きっと俊希はあたしの背中に手を振ってたと思う。



あたしの方が美紀先輩より近い存在なのに。



あたしの方が昔からの仲なのに。



あたしの方が……俊希を好きなのに。



だけど俊希は誰を見ているの?



誰を視界に映しているの?



俊希は誰を……




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