焦れ恋オフィス
「夏基…いつもと違う…。酔ってる?」

「酔ってない。はっきり正気」

「…」

大きな吐息と共に、夏基は

「…悪い。俺も混乱してるな…」

「ねぇ…今からそっちに行ってもいい?」

「…」

どうしてもちゃんと顔が見たくて、あまり私からは無理を言わないけど、夏基の側に行きたい気持ちが強くなって…そう言ったけど…。

「…ごめん。今晩は何言うかわかんないから…。落ち着いて色々考えるよ。
月曜日にでも、仕事終わったら来てくれ」

今までに聞いた事のない低い声が、これ以上は夏基の心に入りこめない事を表していて、私は黙り込んでしまう。

「芽依…。」

「ん?」

「…いや。月曜日はオムライス作って」

やけに明るい声が更に私の心を悲しくさせる。
それでも。

「まかせて」

と言うしか…できない私の瞳は涙が溢れた。
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