焦れ恋オフィス
それでも本当の事を言わずにいた。

そうしないと、夏基の側にいられない気がしているから。

唯一の恋人として側においてくれないなら。
いずれ現れる本当に心から愛せる恋人とめぐりあうまでのつなぎとしてでも、側にいたかった。

不倫している私となら、お互い様だと割り切って側にいてくれると打算的な私…。

でも。
今は後悔してる。

夏基に拒否されて、体中が痛い…。

私をただ一人の恋人として見て欲しかった…。

夏基…。

もう、私には無理かも…。

そのつもりでいたのに…。
いざ離れる時が近いって感じると、体の奥から悲しみが大きくなってきて、私はそれだけに包まれた単なる人形になってしまった…。
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