焦れ恋オフィス
「もしもし」

芽依からの電話でない事に少し落胆しながらも、声には出さずに電話に出た。

「遅くに悪い。特に急用ってわけじゃないんだ。無理に飲み会に誘って悪かったな。…芽依と一緒だったんだろ?」

「…え?」

宏二は、俺と芽依の関係を知る何人かの同期の一人。
滅多にその事には触れてこない宏二が今頃どうして…?

「とぼけても無駄だ。お前の首に綺麗な真っ赤な花が咲いてるの、すぐに気付いたよ」

あっ。

そういえば、さっきシャワーを浴びた時に気付いて…少し心が和んだ赤い花。

「…とぼけません。くくっ。そんな目立ってたか?」

「まあな。あれだけお前を待ってた北野さんが、一気にテンション下げるくらいには目立ってた。…芽依もやるな」

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