焦れ恋オフィス
高橋専務は、一瞬眉を上げて苦笑した。

「…悪かった。今まで芽依が戸部君に俺の妹だと言わなかった理由を考えたら、疑ってしまったんだ。気の回し過ぎだな」

笑いながらもすっきりしない表情の高橋専務。

まだ俺の気持ちを疑っているんだろうか…。

確かに…。

存在すら知らなかった恋人の登場。
そして、妊娠。

考えてみれば、俺と向かい合って、こうして話を聞いてもらえるだけでも、高橋専務にとってはかなり動揺を伴う事。

精神力の強さと、芽依への愛情がなければ。

俺を一発殴って話を聞く事すらしてもらえないだろう…。
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