焦れ恋オフィス
「…泣いてねぇし。
…ただ、芽依ちゃんがこれ以上悩みながら生きる事ないってホッとしただけ」

「…」

ふっと軽く言い放つ言葉が、央雅の本心。
いつも軽口ばかりの弟だけど、私の家族への遠慮を一番敏感に汲み取ってくれる…もう大人の男。

「…ばか。こっちが恥ずかしいよ」

私にはこう冗談にしかできないけど…。

「…恥ずかしいのは俺。そんないちゃつくなよな。

とりあえず、お邪魔みたいだから帰るわ。

明日からどうするか、変わったらまた連絡しろよ」

『大丈夫だよな…?』

と目で尋ねられて、曖昧に頷いた私を心配気に見やった後、病室から出て行った…。

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