焦れ恋オフィス
「芽依と夏芽を大切に…幸せにするから。
結婚して欲しい」

最初のプロポーズが断られて以来の不安を押しやり、もう一度言った。

緊張で声がかすれている…。

「…結婚式の日も決まってるのに…。
ちゃんと結婚するよ。
私も、夏基の事大切にするから」

そう言う芽依の表情は何だかすっきりしなくて、無理に作った笑いを浮かべていると感じるのは気のせい…?

「ねぇ、はめて」

「あ、あぁ…」

差し出された左手を優しく掴むと、ケースから取り出した指輪を、そっと薬指にはめた。

「綺麗…」

天井の照明に左手をかざしながら指輪の輝きにみとれる声は、少し低く、ためらいを感じる…。

「ありがとう」

やはり複雑そうな笑顔を向けられて、怯みそうになる心を強くしようと思う…。

今までの俺の言葉に傷ついているのなら。
その何倍も愛してやる。

…一生離さない。
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