焦れ恋オフィス
私と出会う前に積み重ねた夏基の人生の長い部分に、瑶子さんは笑っていて、それはずっと変わらない重み。

もう、この写真の頃には戻れないけれど、この先夏基と瑶子さんが同じ笑顔で再び寄り添う事があったら…。

…だめ。
胎教に悪過ぎる。

後ろ向きな事ばかり考えないようにしなきゃ。

ふうっと息を吐いて、散らばった写真を片付けると自分の荷物の整理もやめた。

勢いよくクローゼットの扉を閉めて、不安でいっぱいの心の扉も閉じた。

夏芽がいるんだから、大丈夫。
私の側にいてくれる…。
夏基はお父さんになるんだから…。
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