焦れ恋オフィス
「…」

それは、この仙台行きが決まってからずっと考えていた事。
芽依と暮らすようになってからは尚更。

この腕に抱いて眠る夜の温かさに幸せを感じて、朝目覚めた時に最初に目に入る芽依の寝顔。

他の誰とも分け合うことのない存在が、俺を弱くて単なる愛情に溺れる男に変えてしまった。

体調さえ良かったら、一緒に連れて来たかった。

そんな俺の気持ちを察したのか、瑶子は穏やかな瞳を俺に向けて。

「私には見せてくれなかったね」

「…何?」

「そんなに誰かを思って愛しそうに笑う夏基…初めて見た」

「…」
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