焦れ恋オフィス
俺に抱かれて、俺の腕の中で乱れる芽依は、まるで俺が唯一の恋人だとでもいうように身体を寄せて、どんなキスにも応えてくれる。
『夏基……』
意識とは無縁の感覚の中呟く芽依の言葉に、俺は何度もすがろうとした。
その吐息の中に、俺への愛情を探す自分に苦笑しながら、それでもいつかは、俺だけの芽依になるんじゃないかと望みを繋いでの日々。
そして、俺自身を芽依に刻みつける長い夜が何度も続いて、一緒に過ごす時間があまりにも自然に感じられるようになった頃。
既にうまくいってなかった彼女に他に好きな男ができて別れた。
お互い、寄り添いたい気持ちは消えて、ただその事を認めたくないのか面倒なのか、口にしないままに続けていた関係を解消して、ほっとした。
そんな自分が冷たいと、自己嫌悪もあったけれど、それ以上の解放感に肩の荷が下りたようだった。
一人になって、心のどこかにあった『浮気』という罪悪感を完全に捨てた俺は、更に芽依に対する想いを強くした。