焦れ恋オフィス
俺が誘えばいつでも抱かれる芽依を、俺だけのものにしたいと何度も願った。
けれど、入社してしばらくした頃から社内にひっそりと流れていた噂。
『芽依は高橋専務の愛人』
周囲からの興味本位の質問にも、肯定も否定もせずに曖昧に笑う芽依。
そんな芽依の様子と、何度か目撃されている二人が一緒に歩く休日の姿が決定的なものとなり、社内では暗黙のうちにそれは事実となっていた。
けれど、俺に身体を預ける芽依の瞳には、確かに俺への愛情があって、抱き締め返す腕には俺への独占欲が感じられて。
事実をはっきりと聞く事ができないまま、俺の気持ちは芽依に傾いていくばかりだった。
そして、俺が休日出勤となったせいで会えなくなった日曜だった。
思っていたより仕事が早く片付いた俺は、はやる気持ちを抑える事ができないまま芽依のマンションへ行った。