焦れ恋オフィス
「じゃ…私は撤退するんで…」

あ。

女の子。

誘ってくれた綺麗な子は、くすくすと笑いながらこの場から去ろうとして、背を向けた。

「あ…。ちょっと。
悪いけど、二次会でな!俺、追っかけるから」

晴壱も、女の子を追って走って行った。
…もしかして…気に入ってたのか…?
クールに淡々と生きてるあいつのあんな顔初めて見たな。

「あの綺麗な女の子は誰?」

「うーん。まぁ、俺をお茶に誘ってくれた女の子」

「…ふ~ん」

「ちゃんとお断りしたから。気にするな」

決して良さそうには見えない芽依の表情に、今まで感じた事のない温かさを感じる。

「…妬いた?心配?」

自分でもわかるくらいの期待をこめて聞いてみる…。初めて。

「もちろん…。今までずっと遠慮してたけど…。夏基が私以外の女の子を見つめるのも嫌なくらいに妬いてる」

「…ごめん」



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