焦れ恋オフィス
芽依の側にいたいと、芽依に会いたくて仕方のない気持ちの真意に気付いてしまったあの日。
不倫なんていう切ない関係は清算させて、芽依を俺一人のものにすると決めていたあの日。
仕事を終えた途端急いで向かったのは芽依の自宅だった。
早く彼女に会いたくて、気持ちはそれだけで。
緊張感と不安の中、気持ちを落ち着かせようと最後の角を曲がった時に目に入ってしまったのは。
芽依のマンションから出てくる二人だった。
芽依と高橋専務。
近い距離で優しく笑いあう二人の間には、確かに愛情が感じられて、お互いを大切に思う空気に包まれていた。
別れ際のキスこそなかったけれど、寂しげに見送る芽依の表情は、それまで俺には見せた事のないものだった。
『高橋専務の愛人』
直面した目の前の事実が、俺をその場に釘付けにし動けなくさせた。