焦れ恋オフィス
夏基の背後から腕をまわして抱き締めると、ぎゅっと両手を握ってくれた。

「私もいるんだけど…」

背中に呟いて、拗ねてみる。
久しぶりに家に帰ってきたのに、まだ私には何も言ってくれない。

「…そんなに俺が好きか?」

振り返った瞬間にその胸に私を抱きよせて、にやりと笑う夏基。

「うん。すごく好き。一番好き」

夏基の首にしがみついて私からキスをすると、くくっと笑って応えてくれた。

段々熱く深くなるキスに幸せを感じる。

一度素直になる喜びと、そして返ってくる幸せを知ってしまうと、
どんどん自分の気持ちを出せるようになって。
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