焦れ恋オフィス
二人の時間
夏基は優しい。
私の事も、最初は単なる成り行きで抱いてしまっただけだと思う。。
その時恋人がいた夏基にとって、それはまさしく浮気。
私の体だけが目当てだったと思う。
そう思うと悲しすぎるけれど、それが現実で、なんてひどい男なんだろうと思う自分もいる。
それでも。
私にとっては、入社してからずっと密かに好きだった男に抱かれたたった一度の夢のような時間。
その時間を大切に思い出しながら、生きていこうと思っていた。
夏基と恋人を引き離そうとも思わなかったし、たった一度の優しい思い出になるはずだったのに。
けれど、その後の夏基は、会社で顔を合わせる機会が多い私を気遣ってか、何度か飲みに誘ってくれて、気まずくならないように心を砕いてくれた。
そして、夏基への愛情は日増しに強くなっていった私はそんな状況を拒む事ができずにいた。
成り行きの延長のような関係ともいうべき、お互い自然に体を重ねる夜が続いてしまった。