焦れ恋オフィス

『なんでいつも遠慮するんだ……?』

そう聞かれた時、夏基には私が遠慮しながら、少し引き気味に付き合ってきたこれまでがばれていたってわかって、驚いた。

私が遠慮しながら生きているのは、小さい頃からそうしないと周りとうまくなじめなかったからで、生きるためには必要な事だったから。

周囲が私をないがしろにしていたわけではないけれど、人並みに愛情を貰って育ってきたわけではなく、生きていく必要最低限の気遣いを得ながら生きた来たに過ぎない私にはそれが当たり前だった。

そんな私が、今夏基に対して遠慮しながら付き合っているのは、夏基の私に対する言葉や態度のせいなんだけど、本人は気付いてない。

『本命の彼女にはいつ会えるんだろうな』

激しく私を抱いた後、乱れた息も落ち着かないうちにそうつぶやかれると、自分の存在はやっぱり単なる浮気相手に過ぎないんだなと実感する。

夏基が言う、本命の女って、どんな女?

いつも聞きたいけど、聞けなくて。

弱虫この上ない自分が情けないと、思いながらの日々が長すぎて。

もう今更どうしようもない。

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