焦れ恋オフィス



「薫は、この写真のように温かい、患者を優しく迎えてくれるような病院があれば、と思ったらしい」

そこまで言って、相模さんは曖昧に笑った。

「もともと仕事にはかなりの力を出してたけど、この模型作り上げる時は、凄かった。旦那の心配なんか無視して一週間、製作室に籠って没頭してたよ」

くくっと笑うと、思い出したように

「その間、旦那は俺の家でで夕飯食べてたしな」

横に座っている慎也さんも、

「……葵と同期だったっけ?織田さんの旦那」

「そう。薫よりも年下だけど、将来の有望株で、俺の後継者の一人って言われてるな。まあ、そう言われてる若手も多いんだけど」

誇らしげに言う相模さんの声を聞くと、織田さんの旦那さんもかなりできる人らしい。
< 93 / 312 >

この作品をシェア

pagetop