月と太陽Ⅱ
レオルの不安そうな顔を見ながら「何が?」とフェリアが不思議そうに聞いた。
レオルがフェリアを見ながら説明する。
「いくら深くけずって字を書いたとしても五百年もの間、残り続けているのはおかしい。しかもこの森の霧はあまりにも濃すぎる。こんな事が出来るのは……」
「天候魔法を使う魔導師だけね」
確信の目でフェリアが言った。
レオルがゆっくりと頷く。
二人の話しを聞いていたエセルが文字を睨みつけるように見ながら重々しい声で言った。
「じゃあ、この霧のせいで五百年も前に書かれた文字は残り続けてるってことね。そして森の主であるイヴは天候魔法の使い手であり、何者かの手によって心を支配され、森の主になってしまったというわけね?」
エセルの分かりやすくまとめられた話しに関心しながらあとの二人は深く頷いた。
するとレオルが辺りを
ぐるっと見渡した。
「そして、森の主であるイヴを倒さなければ霧は晴れない」
「つまり森からは出られない、と」
フェリアが深刻そうに言う。