月と太陽Ⅱ
三人に重たい空気が漂う。
そんな中、沈黙を遮ろうとするかのように猪の雄叫びが森に響いた。
三人ははっとして辺りを見渡したが、この濃霧の中、見えるはずがない。
しかし雄叫びはかなり遠くの方向から聞こえてきたため、そうたいして危険を感じることはなかった。
しかしそう思ったのもつかの間で、フェリアが何かに気づき、「あっ」と声をもらした。
「私たち崖から遠ざかってるわ。木を追っている内にいつの間にか距離が聞いてしまったのね、きっと……」
フェリアの不安そうな声を聞いて、レオルが辺りをぐるぐると見渡した。
頬に一筋の汗が流れた。
このままだと道に迷ってしまう。
しかもどうやらだいぶ森の奥まで入り込んでしまっているようだ。
「くそっ」レオルが木をドンっと叩いた。
そんな中、フェリアが心配と不安が混じった声で「ねぇ」とレオルに言った。
声はこわばり、心無しか震えている。
そしてしばらくすると言った。
「エセルはどこ?」