月と太陽Ⅱ
時折、コウモリの鳴き声がした。
その度にエセルは武器を変えようと呪文を唱えそうになった。
歩きながらエセルはフェリアたちの事を思った。
きっと自分がいなくなって心配しているだろう。
自分のした自分勝手な行動にエセルは唇を噛んだ。
自分の身勝手な行動により二人に迷惑をかけたのだ。
エセルは心身ともに限界にきていた。
これだけの距離をずっと歩いたり走ったりしていたのだから。
それにこの何も見えない闇と、濃い霧は見ているだけでの心を追い詰めていく。
ふいに本当にこの森から出られるのだろうかと思った。
いつの間にかエセルはこんな下向きな考え方しかできなくなっていた。
それがこの霧の魔法のせいだという事にエセルは気づいていない。