月と太陽Ⅱ
そして一度立ち止まって、壁に肩をかけた時、獣のうなり声がかすかに聞こえた。
はっとして前を見ると洞窟の奥の方からストックの鳴き声がした。
エセルはすぐさま杖を上に向け、呪文を唱えた。
「聖なる杖よ、我の願いのままに姿を変えよ。悪を切り裂け―――ドゥウサック!」
すると杖は光り輝き、漆黒の剣へと姿を変えた。
エセルは前方からすごい勢いで走ってくるストック三匹を睨みながらドゥウサックを持ち身構えた。
もうろうとする意識の中、エセルは目を覚まそうとするかのように一声あげ、目の前にいるストックに向かって剣を振り上げた。