月と太陽Ⅱ
二人は再び背中合わせになって用心深く辺りを見る。
木はざわめくばかりで何も教えてくれない。
突然、また猪が突進してきた。
二人はほぼ同時に避けた。
フェリアは左へ、レオルは右へ逸れて。
二人が立っていた場所に猪が走っていく。
明らかに二人を狙っているようだ。
この濃い霧を利用して。
そんか考え方を動物が出来るはずがない。つまりあの猪は"人間"なのだ。そしてこの森の主、イヴ……
レオルがそんなことを考えた上で重たく言った。
「あいつを倒さないと森からは出られないのか……」
起き上がりながらそう言うレオルの顔は沈んでいた。
霧でよく見えないが猪が通っていった木々が倒れている。フェリアはそれをまじまじと見つめ、怯えたように体を震わせた。
「無理よ…あの速さで突進してくるっていうのにどうやって攻撃をしかけるの?エセルもいないのにっ」