月と太陽Ⅱ
エセルはその言葉を聞くと申し訳ないといった表情で言った。
「ごめんなさい。訳は後で話すわ。それよりもフェリアを…!」
レオルは頷くとフェリアの倒れているところへ駆けていった。
片腕を抑えて痛々しそうな表情で座り込んだフェリアが見えた。
腕からはけっこうな量の赤黒い血が出ている。
疼くまって体を丸めているフェリアは少し震えていた。
「大丈夫か?フェリ――ッ」
レオルがそう言いかけた時、またもや茂みから現れた猪を見て、レオルはすぐさま引き返し、避けた。
すると猪はレオルの目の前で立ち止まりこちらを睨んだような目で見つめてきた。
猪が突進してこうして立ち止まるのは初めてのことだ。