月と太陽Ⅱ
一方エセルは持っていた鞄から"それ"を取り出すといつでも使えるように握りしめた。
あとは猪が攻撃を受けて、うろめいている隙にこれを投げればいい。
「レオル!奴にもう一撃食らわして」
「ああ」レオルははあはあと息を吸うのもやっとの中、答えた。
レオルの体も限界に近づいていたのだ。
エセルは祈るように猪が現れるのを待った。
しかし一向に猪が姿を見せる気配はない。
そしてごくりとエセルがつばを飲み込んだその時だった。