月と太陽Ⅱ
いきなりエセルの隣にある茂みから猪が突進してきたのだ。
かすかに猪のその小さな瞳から勝利の笑みが見えた。
そう、エセルたちはまんまとイヴにはめられたのだ。
エセルは全く予想していなかった出来事に呆然として目を見開いた。
レオルも突然のことに驚き、後ろを見た。
駆けつこうとしたがここからでは間に合わない。
このままエセルに突っ込めば先ほどのフェリアが受けた衝撃よりはるかに大きな衝撃を受けてしまう!
レオルは見ていられなくなり目をつぶった。
「しまっ―――」
エセルが声を漏らす。
先程のレオルと同じだ。
今度こそ助かる術はない。