月と太陽Ⅱ



そんな中、うめき声をあげながら青年はゆっくりと目を開いた。


そして焦点の合わない目で辺りを見つめると、ガバッと起き上がって三人を見ると目を見開いて言った。


「アイラ様!」


エセルはびっくりして慌てて言う。


「いえ、私は旅の者です。あなたはイヴさんですよね?」


するとイヴはだんだん落ち着くとすくっと立って気まずそうに下にうつむいた。


「はい。私はアイラ様の側近のイヴ・ノイズと申します。先程のご無礼、お許し下さい。あまりにもそちらの方が似ていたもので………いえ、それよりもあなた方にはとても感謝しております。私の呪いを解いていただいて」


そう言ってイヴは王族に遣える者らしくきれいなお辞儀をした。


「いえ、でもなぜこんな所に?失礼ですがあなたは太陽側の人ですよね?信用しても大丈夫なのですか?」


レオルは顔をしかめながらイヴを見つめた。


確かにレオルの言うとおりだ。


イヴは自分たちを殺しかけ、主人であるアイラは太陽の初代王。


簡単に信用してはならない。
< 139 / 172 >

この作品をシェア

pagetop