月と太陽Ⅱ



「残されたアクレス様は王家の血を絶やさないために街に住んでいるある夫婦の子を養子として迎え入れることにしました。


もちろん国民にはイワン王が最後に残していった子というように発表して」


「それがアイラ様、サイラ様ね」


フェリアが言う。


イヴは深く頷くと森の木をにらみながら言った。


「しかしそれだけではありませんでした。夫婦には先に産まれた男の子がいたのです。


アクレス様は夫婦が隠していた事を知らず、お二人を王家の者として迎え入れました。


そしてアイラ様、サイラ様の十六歳の誕生日が迫っていたある日、その男はお二人の前に現れたのです」


イヴの目が怒りに満ちる。


まるで記憶を辿るようにイヴは続けた。
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