月と太陽Ⅱ
「そんな中、アクレス王妃がお亡くなりになられ、王位継承者を選ぶことになったのです。
本来ならば姉であるアイラ様がなられるはずなのですが、サイラ様はそれに反対しました。
自分たちの兄であるホルストが王になるべきだ、と。
そしてサイラ様は王家でしか知ってはならない禁断の魔法、黒魔法までもをホルストに教えてしまったのです。
サイラ様は自分の気持ちを分かってくれないアイラ様に嫌気を感じ、国を2つに分かれさせたのです」
イヴは怒りをにじませながら続けた。
「私は見ました。アイラ様が国が2つに分かれ、妹と離れ離れになってしまって泣いておられた時、後ろでおぞましげに笑っていた奴を!
ホルストの狙いを知っていた私は呪いをかけられ、この森に閉じこめられました。
アイラ様はその後も説得しようと月に足を運んで、説得しようとしましたがやはり………。その後、アイラ様がどうなったかは分かりません」
イヴはうつむくと前を見据え、訴えるように言った。
「倒すべき者は月や太陽などではないのです。全ての発端は人の欲にあります。そして奴に」
怒りの目でイヴは下を睨んだ。