月と太陽Ⅱ



ノザは何度も頷いて微笑んだ。


「ソフィア、早く聖水を」


そして真剣な眼差しでソフィアに言う。


「は、はい」


ソフィアは慌てて返事をするとエセルの元へ行き、ビンを受け取ってすぐにぐったりと横たわっているサスティンの所へ駆けていった。


相変わらずサスティンは苦しそうに寝返っている。


首にあった紫色の痣は大きくなっていた。


死が近づいている証拠だ。


汗もかなりかいている。


ソフィアはコルクを抜き、ゆっくりとサスティンのカサついた唇に聖水を流し込んだ。


サスティンは一瞬、「うっ」という、うめき声をあげたが次第にごくごくと飲んでいき、やがてビンの中の聖水を全て飲み干した。


すると今まで呻いていた声がスースーという静かな寝音に変わった。
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