月と太陽Ⅱ

第十六夜、月夜




エセルは驚いて、すぐに後ろを振り返った。


「アイリスさん?」


月明かりで少し照らされている女性を見て言った。


驚きが隠せない。


その女性は一歩前に出ると微笑みながら言った。


「ええ、よく分かりましたね」


エセルは少し戸惑いながらもその言葉に答えた。


「はい、一応……。昼間もここに居ましたよね。メイドのお仕事は大丈夫なんですか?」


「メイドの仕事は仮にすぎないので」


アイリスは尚も微笑んでいる。


エセルは思った。


この人は何でも知っている、と。


一言、一言の語尾にちらほらと自信も感じられる。


この人はいったい何者なの?
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