月と太陽Ⅱ




それは今までにない感情のものであった。


エセルにはその感情が何なのか分かったがそれを誰かに言おうとは思わなかった。


それよりも目先にある旅の方が大切だと思ったから。


この想いは自分の中にしまっておこう。


気持ちを伝えるなら全てが終わった後にしよう。


そう決意すると前を見据えた。


そんな中、サスティンはレオルがもうすぐ自分たちから離れてしまうという返事を聞くと「そうか…」と残念そうな顔をした。


「そんな顔するなよ。全てが終わってからまた会えるさ」


レオルはサスティンの顔を見るとフッと笑って言った。


―――そんな様子をずっと見ていた者がいるとも知らずに……
< 29 / 172 >

この作品をシェア

pagetop