月と太陽Ⅱ
エセルは嬉しそうに「ありがとう」と笑った。
「あなたにプレゼントがあるの」
セビアはそう言うと棚から何か取り出し、エセルに渡した。
それはペンダントだった。
三日月の形をした小さなペンダント。
年期が入っていて少し色あせている。
「これは父さんと母さんからのエセルの六歳の誕生日プレゼントだ。それはとても大切な物だからいつも身につけて大事にしなさい」
父は優しくエセルに言った。
「うん!」
エセルが明るく大きな声で言う。
そして小さな手でペンダントを握りしめた。
父と母はそんなエセルを見ながら笑みを浮かべる。
するとふいに父が何かに気づいたように言った。
「もう時間だ。早く城に行かなければ。エセル、父さんたちは少し家をあける。夜までには戻るからそれまでしばらくこの家に居てくれ。大丈夫だな?」
「うん」