月と太陽Ⅱ



エセルは嬉しそうに「ありがとう」と笑った。


「あなたにプレゼントがあるの」


セビアはそう言うと棚から何か取り出し、エセルに渡した。


それはペンダントだった。


三日月の形をした小さなペンダント。


年期が入っていて少し色あせている。


「これは父さんと母さんからのエセルの六歳の誕生日プレゼントだ。それはとても大切な物だからいつも身につけて大事にしなさい」


父は優しくエセルに言った。


「うん!」


エセルが明るく大きな声で言う。


そして小さな手でペンダントを握りしめた。


父と母はそんなエセルを見ながら笑みを浮かべる。


するとふいに父が何かに気づいたように言った。


「もう時間だ。早く城に行かなければ。エセル、父さんたちは少し家をあける。夜までには戻るからそれまでしばらくこの家に居てくれ。大丈夫だな?」


「うん」
< 52 / 172 >

この作品をシェア

pagetop