月と太陽Ⅱ
父と母がいなくなるのは寂しく、嫌だったが少しの辛抱だと思い、わがままは言わなかった。
「いい子ね。じゃあ行ってくるわね。エセル」
母は優しくそう言うとドアを閉めた。
「いってらっしゃい」
エセルは明るく言った。
パタン。
ドアが閉まる。
エセルは棚に入っている古い絵本を取り出すと、本にふけった。
たまに二人が出かけることはあった。
そんな時は家から出ないで本を読んだ。
そうすれば不安もまぎれたのだ。